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2008/05/04

理科を見殺しにする国(入口)

 理科離れは、子どもに教える「入口」の部分と社会人になって仕事にする「出口」の部分に原因がある。今回はその「入口」の話。

 昨年末の記事より抜粋。

<国際学力調査>「理科に関心」最下位 数学的活用力も低下

 経済協力開発機構(OECD)は12月4日、57カ国・地域で約40万人の15歳男女(日本では高1)が参加した国際学力テスト「学習到達度調査」(PISA)の06年実施結果を発表した。学力テストで、日本は数学的活用力が前回(03年)の6位から10位となり、2位から6位に下げた科学的活用力と併せ大幅に低下した。また、理科学習に関するアンケートで関心・意欲を示す指標などが最下位になり、理科学習に極めて消極的な高校生の実態が初めて明らかになった。
◇57カ国・地域が参加
 調査には、前回より16多い57カ国・地域が参加。日本では無作為抽出された高校1年の約6000人が参加し、学力テストでは「数学的活用力」「読解力」「科学的活用力」の3分野を、アンケートでは、理科学習への関心・意欲などを調べた。
(略)
 関心などのアンケートでは、理科を学ぶ「動機」や「楽しさ」などについて、それぞれ複数の項目を尋ねた。このうち「自分に役立つ」「将来の仕事の可能性を広げてくれる」など、「動機」について尋ねた5項目では、「そうだと思う」など肯定的に答えた割合がOECD平均より14~25ポイント低かった。これらを統計処理し、平均値からどれだけ離れているかを「指標」にして順位を出したところ、日本は参加国中最下位だった。
 また、科学に関する雑誌や新聞などの利用度を尋ねた「活動」の指標でも最下位。科学を学ぶ「楽しさ」を聞いた指標も2番目に低かった。こうした関心・意欲の低下が順位の低下につながった可能性もあるとみられる。【高山純二】
[毎日新聞 - 2007年12月04日 18:25]

 ボクは進学塾で講師をしています。科目は主に数学と理科、まさに理系科目です。生徒に教えている実感として、理系科目が苦手な生徒はトコトン苦手。これは逆(文系が苦手)も然りで、高校生になれば文理選択をするからそれほど問題ではないです。問題は、なぜ苦手意識を持っているかと言うこと。

 理科の面白さは、必ずしも学んだとおりではないという矛盾にあります。水を沸騰させるとき温度計が100度ピッタリをさすことは稀だし、完全な等速直線運動など実際にはあり得ない。なぜ教科書どおりのことが起きないのか?そういった疑問を抱いた瞬間、理科が格段に面白くなるんです。

 でも、子どもたちは「疑問」からとことん逃げるんですな。全てを鵜呑みにして疑わない。「鵜呑み」と言えど実際は「右耳から入って左耳へ抜ける」というのが何とも皮肉。あるいは疑問と対になる「答え」を要求する。しかもそれは極めてシンプルでなければ納得しない。答えが分かれば、それでおしまい。鵜呑みと同様子どもは覚えることをしないので、同じ「疑問」に当たった時も再び他者に「答え」を求めるの繰り返しです。 それじゃ成長も学力向上もあったものじゃない。

 まぁ子どもは大人の写し鏡ですから。大人にもそういった節があるのかも。
 例えば理科の実験をやっているとします。テーマは「中和」塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜて食塩水ができるというものですね。BTB溶液の色が青色(アルカリ性)なら塩酸を、黄色(酸性)なら水酸化ナトリウム水溶液を加えるの繰り返し・・・しかし結局緑色(中性)を示さぬまま授業が終盤になりました。その授業の締め方として、こう締める先生が多いらしいんです。

「実験はうまくいかなかったけど、中和したら緑色になるってことを覚えておくように!」

 うわ、実験を一瞬で無にしやがった・・・。ここでの正解は

「今回の実験、なんで緑色にならなかったんだろうね?」

でしょう。中和滴定が非常に繊細なバランスで成り立つことは高校化学で扱うこと。それを実感させることがこの実験の目的ではなかろうか?もちろんこれ自体は入試問題には出ない。しかし続けて

「この水溶液から食塩だけを取り出すには、水溶液は酸性・アルカリ性のどちらがいい?」

と質問することで、中学理科の内容を網羅することができるのです。
 上記のように学校の先生がヘナチョコなこともあるので、そこは親御さんの方で補完して頂きたいとも思います。学校でどんなことを学んだのか、そんなことから会話をして頂きたいですね。

 ボクは理科ってとても身近な科目だと思っているんだけど、子どもにはそこんところが全く伝わらない。身の回りのことに関心がない、関心を持たせない状態なら、理科の成績が下がるのも当然でしょう。

 成績が下がるならまだしも実生活で同様のことが起きているというのも切実な問題。これは大人も例外ではないすぞ。

「北極の氷が溶けると、海水面が上昇する。」

 こんなことを本当だと信じているバカタレはいないと思いますが、ことさら地球温暖化の問題については中学校レベルの理科で簡単に矛盾を突くことができるものがいくつかありますので、ぜひとも試していただきたいと思います。

 さて、次回は「出口」の話。

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