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2008/05/03

地方の悲鳴・その一例

 埼玉県は南埼玉郡菖蒲町に在住する某氏のタレコミ。地方自治体の悲鳴が聞こえた。

 広報しょうぶ2008年3月号の2面より。PDFでコピーも閲覧できますが、ここに部分転載します。

合併協議を進めていきます
~合併に関する意向調査で85パーセントが賛成~

 町では、1月18日から31日まで、1市3町(久喜市・菖蒲町・鷲宮町・栗橋町)を基軸とした「菖蒲町の合併に関する意向調査」を実施致しました。
 意向調査の結果は、全回答者の85パーセントの方から、合併について「賛成」との回答をいただきました。これを受けて町では平成22年3月までの合併をめざし、1市3町による、合併に向けた協議を進めていく予定です。(後略)

 一見するとかなりの比率で賛成しているが、この理由として意向調査の投票用紙に同封されていた「ある紙」が関係している。その文面を転載すると共に、地方の実態についてみんなに知って欲しいと思う。

 8ページのプリント、左上に「重要」と書かれた紙には町長の言葉から書き始めていた。

(略)前回の蓮田市、白岡町との合併協議の破綻後、町財政の悪化が進みましたので、町では平成18年度から「緊急行財政改革プラン」を強力に推進してきました。しかし、将来の財政見通しは依然として大変厳しい状況です。
 今後、地方分権の進展、少子高齢化と多様化する住民ニーズなどへ適切に対応していくためには、行財政基盤の整った足腰の強い自治体をつくる必要があります。

 そのためには、「合併」をすることがどうしても必要です。
(略)[菖蒲町の合併に関する意向調査 p.1]

 かの「平成の大合併」が行われた頃、菖蒲町も例に漏れず合併協議を進めてきた。その時の住民投票で反対票が賛成票を上回ったために協議は白紙になった。そして平成20年1月、20歳以上の全町民宛にこの文書が郵送されたのである。町民は「また?何を今更?」を思ったに違いない。

 p.2とp.3では財政の悪化ぶりをさまざまなデータを出しながらご紹介。「緊急行財政改革プラン」というのは、端的に言えば公共事業の縮小だ。その結果8億円近い財政効果を上げ、当面の緊急事態は回避できたと説く。
 さりとて地方の小さな町である。平成23年には再び赤字になることが予測されるとのこと。少子高齢化に伴う扶助費や圏央道を軸とした開発事業で歳出が増える反面、歳入は地方交付税や国・県からの交付金が減少する。当然のことながら公債費(借金返済)の負担が軽くなることもない。町の貯金(基金)を切り崩していくと平成23年度で底をつく。この年度がデッドラインなのだ。

 p.4からは合併の経緯や1市3町の概要を5ページ弱に渡ってまとめてある。ここはただサービスの違いを列挙しているだけなので内容は割愛。

 最後のp.8で合併のメリットをまとめていた。

合併新法期限内に合併するメリット
○平成21年度末に合併した場合、10年間は有利な地方交付税が受けられます。
○埼玉県から合併に必要な費用の財政支援を受けることができます。
[菖蒲町の合併に関する意向調査 p.8]

 合併の真意は上記二言に尽きると思う。現状で地方交付税が減少するのなら、そうならないよう対策せねばならない。そのためには合併という手段も取らざるを得ないということなのだ。下段も然り。

 結局、国の懐に頼らざるを得ないのよ。

 ひとつ前の記事で「地方が国の財源をアテにしているからね」と断定したのはこれが頭にあったからだ。国からお金を戴けるのなら合併だって何だってする。それほど地方は厳しい財政状況に置かれているのだ。

 合併協議の中で住所に菖蒲町の名が残るよう強く主張していくと町長名義で回答用のハガキに書いてあった。この文言は文書に盛り込まれておらず、回答した人に限りハガキと共に文言が記載されたものを没収された形になる。ちなみに同様の意向調査を行った久喜市では、合併後の新しい市の名前も「久喜市」にすることを主張されていた。自治体の規模から見ても吸収合併の体をとる形になるだろうし、何より「第2の夕張」になるよりは・・・という不安感が「合併はやむを得ない」という消極的賛成票を増やした要因なのではないか。

 先日暫定税率が復活しました。その使途は道路に限定されるのか一般財源化するのかは定かでないけれど、そのお金を地方は確実に必要としています。そればかりか、それ以上の額を地方は「生きのびるために」欲しています。

 地方の悲鳴に耳を傾けて頂きありがとうございました。

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